MECHATRAXのブログ
本ブログでは、Raspberry Pi および関連モジュールを用いた
業務・産業用途での開発・運用に関する技術情報を発信しています。
4GPi ver.2 リリース ― Raspberry Pi 5対応 4G(LTE)通信モジュール
4GPi ver.2 リリース ― Raspberry Pi 5対応 4G(LTE)通信モジュール

概要
4GPi ver.2 は、弊社(メカトラックス株式会社)が開発した、Raspberry Pi(ラズベリーパイ)で4G(LTE)通信を利用するための通信機能拡張モジュールです。
4GPi は2018年のリリース以来、IoT機器、遠隔監視装置、産業用ゲートウェイなど、安定した通信と電源供給が求められる用途で活用されてきました。この度リリースした 4GPi ver.2 は、従来の 4GPi が備えていたLTE通信機能はそのままに、電源仕様を強化し、Raspberry Pi 5 への正式対応と、6V〜48V の広い入力電圧対応を実現しています。
本記事では、4GPi ver.2 の開発背景、従来製品からの変更点、Raspberry Pi 5 対応のポイント、業務・産業分野での活用例を紹介します。
4GPi ver.2 の主な特長

従来の4GPiと比較した、4GPi ver.2 の主な特長は次の3点です。
- Raspberry Pi 5 に正式対応した、Raspberry Pi用4G(LTE)通信モジュールです。
- 高負荷な Raspberry Pi の稼働に対応できるよう、電源供給能力を 5V/5A(25W)に強化しました。
- 入力電圧範囲を 6V〜48V に拡張し、産業~車載機器、通信設備等でも利用しやすくなりました。
Raspberry Pi の業務活用と通信・電源問題
もともとは教育用コンピュータとして登場した Raspberry Pi ですが、豊富な周辺機器、センサー、ソフトウェア、ドキュメント、コミュニティなどのエコシステムにより、企業のPoC、研究機関の実証実験、産業用途の組込み機器にも採用されています。
一方で、Raspberry Pi を業務用途で活用する場合、通信と電源が問題になりがちです。遠隔地や屋外設備では、搭載されている有線LANやWi-Fiで通信できない場合があります。また、USBからの電源供給だけでは、接続する周辺機器や負荷状況によって電圧が不安定になり、動作に影響することがあります。
これらは、「携帯電話(セルラー)回線による安定した通信」、「ピンヘッダからの安定した電源供給」で解消することが可能です。
3GPi から 4GPi へ – Raspberry Pi 用セルラー通信の歩み
3GPi(2014年〜2018年)
3GPi(スリージーパイ)は、Raspberry Pi 本体にスタックして使用する3G通信モジュール(基板)で、2014年に販売を開始しました。
付属ACアダプタ(12V 2.0A)からの電力を基板上で5Vに変換し、ピンヘッダ経由でRaspberry Piへ供給する構成を採用することで、Raspberry Pi本体へ十分な電力を供給可能としました。また、使用GPIOの割り当てはジャンパピンで切り替えられるため、他のHATと併用する際の競合を避けやすく、Raspberry Pi のハードウェア資産と組み合わせやすい設計としました。さらに、ATコマンド等を使用することなくOS上から通信モジュールを制御できるユーティリティソフトウエアも提供していました。
USBドングル型製品では、USB端子部のみで Raspberry Pi 本体と取り付けることになりますが、4G(LTE)通信基板をピンヘッダとスペーサで強固に固定することで実装の安定性も確保しています。
導入しやすさと稼働安定性により、3GPi はPoC、プロトタイピング、製品組込み、研究機関での実証実験など、ソフトウェア技術者がIoT機器を開発する際にも扱いやすい通信モジュールとしてさまざまな用途で利用されてきました。
4GPi(2018年〜2026年)
4GPi(フォージーパイ)は、3GPiで培った携帯電話回線の活用ノウハウをベースに、4G(LTE)回線向けに開発された製品です。
IoTの普及による、画像、動画、センサーログなどの大規模データに対して、4GPi は LTE Cat.4(下り最大150Mbps / 上り最大50Mbps)の通信デバイスであるSIMCom社製 SIM7600を搭載し、3GPiが重視していた安定した通信という基本方針を継承しながら、より高速な4G(LTE)通信に対応しています。
2018年からの販売開始以来、遠隔監視、設備監視、農業IoT、防災用途、社会インフラ監視など、Raspberry Pi で携帯電話回線を使用する様々な用途で広く利用されてきました。
4GPi ver.2 のリニューアルポイント

4GPi ver.2 は、Raspberry Pi 5 の登場と、IoT機器の設置環境の広がりに合わせて 4GPi をリニューアルしたモデルです。主な変更点は、出力電力、入力電圧範囲、Raspberry Pi 5 対応の3点です。
| 項目 | 4GPi | 4GPi ver.2 |
|---|---|---|
| 出力電力 | 5V/3A(15W) | 5V/5A(25W) |
| 入力電圧 | 6V〜24V | 6V〜48V |
| Raspberry Pi 5 対応 | 動作可(負荷依存) | 正式対応 |
5V/5A(25W)出力 – Raspberry Pi 5 に正式対応
Raspberry Pi 5 は、従来モデルと比べて処理性能が向上した一方で、必要とする電力も増えており、Raspberry Pi Ltd. は、Raspberry Pi 5 に対して最大 5V/5A 対応の電源を推奨しています。
4GPi ver.2 は、5V/5A(25W)の出力に対応し、Raspberry Pi 5 と4G(LTE)通信、さらにUSB周辺機器、カメラ、センサー、AIアクセラレータなどを組み合わせたシステムでも、電源側に余裕を持たせた構成が可能です。
特にエッジAI用途では、すべてのデータをクラウドに送るのではなく、現場で推論や判定を行い、必要な結果だけを4G(LTE)回線で送信する構成が増えています。4GPi ver.2 は、Raspberry Pi 5 を使ったエッジ処理とモバイル通信を組み合わせる用途にも適しています。
6V〜48V入力 – 産業機器や車載環境でも使いやすい電源仕様
従来の 4GPi は 6V〜24V 入力でしたが、4GPi ver.2 は、入力電圧範囲を 6V〜48V に拡張しました。
入力電圧範囲が広がったことで、工場の制御環境、データセンター、産業機器、フォークリフトなどの車載用途、通信インフラなど、高めの電源電圧が使われる現場にも導入しやすくなりました。
入力電圧の使い分けガイド
4GPi ver.2 の入力電圧は、Raspberry Pi本体と周辺機器の消費電力に応じて選択します。
| 消費電力 | 推奨入力電圧 | 備考 |
|---|---|---|
| 5V/3A(15W)以下 | 12V アダプタ | 従来どおり。既存 4GPi 用アダプタをそのまま流用可能 |
| 5V/3A 超 〜 5V/5A(25W) | 24V アダプタ(推奨) | Raspberry Pi 5 でフル性能を引き出したい構成向け |
- 推奨ACアダプタ:https://store.mechatrax.com/product.php?id=99
- 詳細仕様・互換性情報:https://github.com/mechatrax/4gpi
業務・産業分野における4GPiの導入実績

業務・産業分野で弊社が手掛けた事例を紹介します。
PoC(プロトタイピング)での弊社受託事例
4GPi と Raspberry Pi その他製品を組み合わせることで、4G(LTE)回線を使用するPoC(プロトタイピング)を、迅速かつ低コストで実現しました。
- 害虫捕獲トラップ用モニタリング装置(農林水産省 那覇植物防疫事務所)
トラップに捕獲された害虫の撮影画像を、4G(LTE)回線経由で定期的に送信する装置です。
https://mechatrax.com/development/prototype/#rasp-pi-ien-opr - 4G通信による橋梁洗堀モニタリング機器(株式会社福山コンサルタント)
橋梁部の振動センサの値を、4G(LTE)回線経由で定期的にクラウドへ送信する機器です。
https://mechatrax.com/development/prototype/#soc-infra-monitor
小ロット製造での弊社受託事例
4GPiと Raspberry Pi その他製品を組み合わせることで、一般的には高額になりがちな小ロットの4G(LTE)通信機器を低価格かつ短納期で製造しました。
- 農業IoT(環境モニタリング)機器(国内上場IT企業)
ビニールハウス内のカメラ画像、温湿度、日射、土壌水分、CO2などのデータを4G(LTE)回線でクラウドへ送信し、スマートフォンなどで確認できる機器です。
https://mechatrax.com/development/small-production/#vinyl-house-wherever - 簡易型河川監視機器(株式会社福山コンサルタント)
水位センサとカメラで小型河川の状況を把握し、4G(LTE)回線経由で定期的にクラウドへ送信する監視機器です。
https://mechatrax.com/development/small-production/#inter-flood-grasp
専用ハードウェアの開発・製造
Raspberry Pi やラズパイ用モジュールだけでは実現できない機能については、電子回路、組込ソフトウェア、駆動部などのメカ機構、筐体を含めて、専用ハードウェアとして開発・製造しています。
- 改良型小型GNSS-MEMS観測装置の開発(国土地理院)
よくある質問

4GPi ver.2 は Raspberry Pi 5 で使えますか?
はい。4GPi ver.2 は Raspberry Pi 5 に正式対応しています。出力は 5V/5A(25W)に対応しており、Raspberry Pi 5 の推奨電源仕様に合わせた構成です。
4GPi ver.2 の通信機能は従来の 4GPi と変わりますか?
通信機能は従来の 4GPi と同等です。4GPi ver.2 の主なリニューアルポイントは、Raspberry Pi 5 対応と電源仕様の強化です。
4GPi ver.2 の入力電圧は何Vですか?
4GPi ver.2 の入力電圧範囲は 6V〜48V です。従来の12V環境に加え、24Vや48Vの電源環境にも対応しやすくなりました。
Raspberry Pi 5 で高負荷構成にする場合、どのACアダプタを使うべきですか?
Raspberry Pi 5 でフル性能を引き出したい構成では、24V対応のACアダプタの利用を推奨します。USB周辺機器やAIアクセラレータを併用する場合は、消費電力に応じた電源設計が重要です。
まとめ
4GPi ver.2 は、Raspberry Pi 5 に正式対応したRaspberry Pi用4G(LTE)通信モジュールです。従来のLTE通信機能を継承しながら、出力を 5V/5A(25W)へ強化し、入力電圧範囲を 6V〜48V へ拡張しました。
Raspberry Pi 5 を使ったIoT機器、エッジAI端末、遠隔監視装置、産業用ゲートウェイでは、通信の安定性だけでなく、電源の安定性も重要です。4GPi ver.2 は、Raspberry Pi と4G(LTE)通信を業務・産業用途で安定して使うための選択肢です。
Raspberry Pi 5 の本格活用、車載・産業機器での利用、24V/48V電源環境での運用をご検討の方は、4GPi ver.2 の導入をご検討ください。
ご質問やご相談はお気軽にお寄せください。
- 製品に関する FAQ はこちら:https://mechatrax.com/faq/
- 製品に関するお問い合わせはこちら:https://mechatrax.com/contact-form/

